教室の様子

白黒の凸凹世界をつくる

こんにちは、講師の中森です。

子どもをアート教室に行かせたい。Art☆Stars、興味あるけど、どんな雰囲気なんだろう…?と思っている方へ、少しでもイメージを持ってもらえたらと思い、先日の授業の様子をお届けします。

この日のテーマは「白黒の凸凹世界をつくる」。
<材料>
・ベニヤ板
・木工用ボンド
・紙粘土
・墨汁
・空き缶、木片、ペットボトル、マーカーのふたなど、お好きな型押しグッズ

材料はこれだけ、いたってシンプルです。このシンプルな素材がこれからお子さんの手によって大変身していきます。 まずは紙粘土を3等分し、白、薄いグレー、濃いグレーの3色を作ります。 白はそのまま。薄いグレーと濃いグレーは紙粘土に墨汁を練り込んで作ります。今回使用した紙粘土「Kクレイ」は、とにかくよく伸びるのが特徴。まるでパン生地をこねているかのような感触で、お子さん達も「うわぁ~」とはしゃいでいました。
やっぱり、固いとかボソボソしてるとかだと、それだけで創作意欲が削がれてしまうので…素材の「触り心地・使い心地」にはこだわって選びます。

最初は白と黒が分離していてマーブル模様だったけれど、何度も何度も伸ばしてこねてを繰り返しているうちに、段々と色が均一になっていきます。ここで「マーブルのままでも良いかもね」なんて声も。その通り、まったく先生の言うとおりに作る必要はないのです。自分の美的センスを信じて突き進んでもらいたいと思っています。

次に、ベニヤ板に接着目的の木工用ボンドを延ばし、その上から紙粘土を好きなようにちぎって押し付けていきます。3色の粘土を、好きな配分で。一度押し付けたら終わりではなく、板の上でこねて混ぜて別の色を作ったり・・・ちょっとつまんで延ばすと納豆のように糸を引くので、その質感をそのまま残したり。

ある程度ベニヤ板が粘土で埋まってきたら、型押しを始めます。空き缶や木片など好きな物を墨汁の入った皿に浸して、スタンピング。画面が平らではなく凸凹しているので、丸い缶の底で型押しをしても「〇」ではなく「C」のような形が表れたりします。
予想と違った結果が出てくると、じゃあこうしたらどうなる?という好奇心がくすぐられますよね。
私が用意した素材以外にも、教室の道具棚から型押しグッズを見つけてきて使っている子もいました。

今回のテーマの狙いは2つありました。
ひとつは、無彩色でも表現の幅は広がるということを知ってもらえたらと思っていました。やはり赤、青、黄などの色があるとそっちを使いたくなりますよね。あるお母様も、「絵の具を渡しても黒だけは全く触られないまま」なんて仰っていました。 でも、今回出来上がった作品を見ると、どうでしょうか?モノクロの世界、とても魅力的ではないですか?そして、白黒しか使っていないのに、明度のバリエーションだけで、こんなにも全く表情の異なる作品ができるんです。

ふたつ目の狙いは、立体造形の楽しさを体験してほしいということです。
立体といっても彫刻のように難易度の高いものではなく、小さなお子さんでも楽しめる(未就学児のお子さんもいました)、だけど平面には無い良さが確かに味わえるのが今回の課題でした。
時々、「作品を横から見たり、違う角度から見たりしてみてね」と声をかけていました。生徒さんはひょいと作品を持ち上げて見方を変えると、「おお!」と言って、何かを閃いたようにまた別のアプローチを試していました。「街に見えてきた」といって木を生やしたり、トンネルのようなものを無数に作っている子もいました。
最後にみんなで鑑賞会をしましたが、その時も上から見てみたり横から見てみたり、視点によって見えるものの違い、出てくる感想の違いを楽しみました。

この日はどの子も最初から最後まで飽きることなく、熱中している様子でした。見ている私としても、この作品がどういう完成系になるのか?最後まで全く予想ができないままでした。実際、ちょっと目を離した隙に、さっきまで白の多かった画面が真っ黒になっていたりして、面白くてたまらなかったです。そういう、作っている本人でも予想できないというワクワク感があるか、「未知性」を大事にしています。

講師は「上手だね」とは言いません。大人の固定観念による上手い・下手の評価軸にさらすのではなく、自分のやりたいことをやりたいようにでき、心から面白がることができ、またそこから新たな気づき・発見を得て、創造性の芽をぐんぐん伸ばしていって頂きたいと思っています。

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